KEIKO BAGSについて

初めに

こんにちは、恵子です。
本日は私のバッグショップにお越しいただき、本当にありがとうございます。

この29年間、私は心を込めてハンドメイドの革製バッグを作り続けてきました。
どのバッグにも、伝統、忍耐、そしてものづくりへの情熱が込められています。

そして今、人生の次の章に向けて歩み出す時がきました。
ショップを閉じ、引退をするというのは簡単な決断ではありませんでした。
少し立ち止まり、家族との時間を大切にしながら、新たな日々を迎えたいと思っています。

創作の喜びや、皆さまとあたたかなつながりを思うと名残惜しさもありますが、
これまで支えてくださったすべての方に、心から感謝の気持ちをお伝えしたいです。

長い旅の終わり

すべては、29年前、小さな革工房から始まりました。
そこで私は、“魔法”に出会ったのです。

それから今日まで、私は自らの技術を磨き続けてきました。
時代を超えて愛される上品さを持ち、一生をともにできるバッグを作るために、
たゆぬ努力を重ねてまいりました。

すべてのステッチ、すべてのカット、そして革の選定に至るまで、
一つひとつに愛情とこだわりを込めています。

この工房は、私にとって第二の家のような存在でした。
ここで私は、幾度もデザインを練り直し、構想を形にするために数え切れないほどの時間を過ごしてきました。

けれど、革が時を重ねて美しく味わいを深めていくように、
私自身もまた、新たな時間を歩み出すときが来たのだと感じています。

29年間という素晴らしい年月を経て、
今、私は静かに引退という新たな節目を受け入れようとしています。

私の人生におけるバッグ制作

革製バッグを作るということは、ただ完成品を手にすることではなく、
その一つひとつの過程こそが、何よりも大切なのです。

最高級の革を丁寧に選び、細部にまで心を込めて手縫いし、
少しずつ形になっていくその瞬間を見届けることが、
私にとっていつも最大の喜びでした。

私がつくるバッグには、情熱、職人の技、そして時代を超えて愛されるデザインへの想い、
言いかえれば、私自身の一部が込められています。

そしてそのバッグたちが、誰かの物語の中でそっと寄り添い、
日々をともに歩んでいくこと。
それを知るたびに、胸がいっぱいになるような幸せを感じてきました。

今、私はこの工房に静かに別れを告げる準備をしています。
胸には、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

最後に最高の作品を届けたい

約30年にわたるものづくりの旅を締めくくるにあたり、最後のコレクションを制作しました。
これは、これまでの年月を通して注いできた情熱と愛情を込めた、私からの感謝の形です。
このコレクションには、私の技術と伝統が受け継がれ、これまでのすべてを凝縮した作品が詰まっています。
私が手掛けたバッグを手に入れることができるのは、これが最後の機会となります。

これ以降、新たな作品を制作することはありません。

この旅を共に歩んでくださり、私の手作りのバッグを支えてくださったすべての方々に、
心より感謝申し上げます。
私の職人としての旅はここで終わりを迎えますが、私のバッグの物語は、
皆様とともに、これからもずっと続いていくと信じています。